ファブリー病(Fabry disease)は、特定の酵素(α-ガラクトシダーゼA)が欠損または活性が低下することにより、ライソゾーム内にその基質であるグロボトリアオシルセラミドが進行性に蓄積することで生じる先天性代謝異常症です。
主に、血管内皮細胞、自律神経節、汗腺、腎、心筋、角膜などに蓄積し、四肢末端痛、心肥大(左室肥大)、腎不全、蛋白尿、脳梗塞、被角血管腫、発汗障害(無汗症、低汗症)、角膜混濁などが臨床症状として認められます。
病型は、臨床所見や臓器障害、性別により古典型、亜型(心ファブリー、腎ファブリー)、ヘテロ型に分類されており、わが国では約900名の患者さんが報告されています。
遺伝形式はX連鎖性遺伝です。
※現在の名古屋セントラル病院ホームページ参照してください。
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古典型 2) | 遅発型 2) | 女性ヘテロ型 3) | |
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腎亜型 | 心亜型 | |||
発症時期 | 4歳~8歳 | >25歳 | >40歳 | 6歳~60歳 |
心合併症 | 虚血/MI | LVH | LVH/MI/心筋症 | LVH |
腎合併症 | 腎不全 | 腎不全 | 軽度尿蛋白 | 尿蛋白~末期腎不全 |
α-GAL A 残存酵素活性 |
<1% | <5% | <10% | 軽微減少~正常 |
血液を少し採取して、血液中の酵素(α-ガラクトシダーゼA)の働きを測定します。
他にも、血液や尿を採取して蓄積している糖脂質(Gb3, GL3, CTH)を確認したり、α-ガラクトシダーゼA遺伝子変異を調べることがあります。
● 四肢末端痛
● 腎不全、蛋白尿、マルベリー小体
● 心肥大、(左室肥大)
その他、被角血管腫、発汗障害(無汗症・低汗症)、角膜混濁、脳梗塞などの症状があります。
遺伝子組換えα-ガラクトシダーゼA製剤を補充する酵素補充療法(ERT)または、低分子化合物によって変異酵素蛋白質を構造的に安定化させる薬理学的シャペロン療法(PCT)があります。酵素補充療法は、欠損している酵素を体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質を代謝・分解する治療法です。薬理学的シャペロン療法は、既定の薬を一日おきに内服する治療法です。
他に、四肢末端痛、腎症状、心症状、皮膚症状などへの対症療法が必要となる場合があります。