ゴーシェ病(Gaucher disease)は、細胞内リソソーム(ライソゾーム)において加水分解酵素であるβ-グルコセレブロシダーゼ活性が正常値より不足あるいは欠損しているため、この酵素で本来分解されるべき糖脂質のグルコセレブロシドが肝臓、脾臓、骨髄(マクロファージ)などに蓄積する先天性代謝異常症です。
主に、肝臓、脾臓、骨髄などに蓄積し、貧血、血小板減少症、肝臓・脾臓の腫大、骨痛・骨症状などに加えて、神経症状を呈する場合があります。
病型は、神経症状の有無や臨床症状により1型~3型に分類されており、わが国では約100名の患者さんが報告されています。
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
※現在の名古屋セントラル病院ホームページ参照してください。
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Ⅰ型 慢性非神経型 | Ⅱ型 急性神経型 | Ⅲ型 亜急性神経型 | |
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発症時期 1) | 幼児期~成人期 | 乳児期(新生児型も存在する) | 幼児期~学童期 |
神経症状 1) | (-) | (+++) | (+)~(++) |
日本人の病型分布 2) n=129 | 41.8% | 24.0% | 34.1% |
海外の病型分布 3) n=5,458 | 92% | 1% | 7% |
血液を少し採取して、血液中の酵素(β-グルコセレブロシダーゼ)の活性を測定します。
他にも、骨髄や肝臓・脾臓の組織を少し採取してゴーシェ細胞や蓄積している糖脂質(グルコセレブロシド)の分析、グルコセレブロシダーゼ遺伝子変異を調べることがあります。
● 貧血、血小板減少症
● 肝臓・脾臓の腫大
● 骨痛、骨症状
その他、アンジオテンシン変換酵素(ACE)値上昇、ゴーシェ細胞、病的骨折、エルレンマイヤーフラスコ変形などの症状があり、Ⅱ・Ⅲ型では神経症状(眼球運動障害、精神運動発達遅滞、痙攣など)があります。
遺伝子組換えグルコセレブロシダーゼ製剤を補充する酵素補充療法(ERT)または、グルコセレブロシドの合成を抑制する基質合成阻害療法(SRT)があります。酵素補充療法は、欠損している酵素を体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質を代謝・分解する治療法です。基質合成阻害療法は、既定の薬を毎日内服する治療法です。
他には、貧血、血小板減少症、脾臓の腫大、骨痛、骨症状、神経症状などへの対症療法が必要となる場合があります。