ムコ多糖症Ⅰ型(ハーラー症候群、シャイエ症候群)は、特定の酵素(α-L-イズロニダーゼ)が欠損または活性が低下することにより、ライソゾーム内にヘパラン硫酸やデルマタン硫酸などのグリコサミノグリカンが進行性に蓄積することで生じる先天性代謝異常症です。
主に、結合組織や軟骨、関節などに蓄積し、特徴的顔貌、肝臓・脾臓の腫大、関節拘縮、骨の異形成、ヘルニア(臍・鼠径)、角膜混濁などが臨床症状として認められます。
病型は、臨床症状によりMPS IH型、MPS IH/IS型、MPS IS型に分類されており、わが国では約70名の患者さんが報告されています。
遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
特徴的顔貌、肝臓・脾臓の腫大、関節拘縮、骨の異形成、ヘルニア(臍・鼠径)などが臨床症状として認められます。
※ムコ多糖症Ⅰ型で認められる角膜混濁は、ムコ多糖症Ⅱ型では一般的には認められません。
病型は、臨床症状によりMPS IH型(ハーラー症候群)、MPS IH/IS(ハーラー-シャイエ症候群)、MPS IS(シャイエ症候群)に分類されています。
MPS IH型 (Hurler症候群) 重症型 | MPS IH/IS型 (Hurler-Scheie症候群) 中間型 | MPS IS型 (Scheie症候群) 軽症型 | |
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発症時期 | 生後6ヶ月~2歳頃 | 3歳~8歳頃 | 5歳以降 |
精神発達遅滞 | (+) | (-)~(+) | (-) |
血液を少し採取して、血液中の酵素(α-L-イズロニダーゼ活性)の活性を測定します。
※1次検査として、尿中ウロン酸の測定を調べることがあります。
● 特徴的顔貌
● 肝臓・脾臓の腫大
● 関節拘縮、骨の異形成
特に乳幼児期には、ヘルニア(臍・鼠径)、反復性中耳炎、蒙古斑が見られ、その他、心臓弁異常、精神発達遅滞、低身長などの症状があります。
※ムコ多糖症Ⅰ型で認められる角膜混濁は、ムコ多糖症Ⅱ型では一般的には認められません。
遺伝子組換えα-L-イズロニダーゼ製剤を補充する酵素補充療法(ERT)または、造血幹細胞移植(HSCT)があります。酵素補充療法は、欠損している酵素を体外から点滴で補充し、蓄積している糖脂質を代謝・分解する治療法です。
他には、脾臓の腫大、関節拘縮、骨の異形成、ヘルニア(臍・鼠径)などへの対症療法が必要となる場合があります。